雑記:050 ソフビの補修


 ソフビが裂けたり割れたりした場合、一般的に修理は瞬間接着剤と言われている。
普通の接着剤ではちゃんとくっ付かないので、確実性では確かにそうなる。
ウチでもカスタム初心者の頃にやらかし、瞬間接着で補修したヘッドはある。

 しかし、瞬間接着は固まると接着箇所が硬く、ソフビの伸縮性には合わない。
扱い方では再度割れることもあるし、ドールヘッドはお湯をかけるので不向きだ。
植毛部分、特に分け目の密集部位であれば、再植毛に針を刺しただけで割れる。
頭頂の割れたドールヘッドなど、どうすればいいというのか。

 そんな中、ボロっ子スレでソフビパテなる手法を知ったので試してみた。




 要するに溶剤でソフビを溶かす、その溶剤が「アクリサンデー、塩ビ接着剤」。
ホームセンターなどで入手できるが、アクリル用ではなく塩ビ用なのに注意。
なぜかアマゾンなどネット通販の方がホムセンより高いという意味不明な商品でもある。

 他にも同様のことができる溶剤は複数あるが、この塩ビ用が一番強力かつ確実らしい。
ソフビ塗装で前に紹介したVカラーでも一応可能。




 溶剤だけではただの溶剤なので、パテの元となるソフビが必要になる。
修理するソフビと同一であれば確実なので、そのソフビから採取するのが一番だろう。
ヘッドによってはこういうバリや、ヘッド内部に無駄な突起がある場合も多い。
それらを削り取るのが手軽、どーせいらない部分だし植毛すれば分からない。

 ウチではそれに加え、雑記12でやってたようにボディの一部を削ったものがあった。
瞬間接着でくっ付ければ元に戻せると思い残しておいたが、こういう活用もできる。
もっとも、それの修理を目的とするなら溶かせないんだけどな。




 削ったり切り取ったりしたのを、こういう小さい瓶に入れ、そこに溶剤を流す。
量はソフビ片がつかる程度でいいだろう、どーせあとで足すことになる。
時間は物によって異なるだろうが、塩ビ用だとほんと簡単に溶ける。
完全に溶かすなら一晩ぐらいかかるが、実用性なら小一時間でも十分。

 これら作業をしている間、この溶剤が飛び散らないように注意。
ソフビに限らずプラに付着すると、ほんと簡単に表面が溶けてドロドロになる。
わずかでも取り返しのつかない事故になりえるので気を付けよう。
もちろん、換気は十分すること。




 溶けたらそれを亀裂部、あるいは接着した面同士に流したり付けたり、なんだが、
この溶剤の特質上、揮発して固まるまでが無茶苦茶速い。

 俺が使う時は写真の混ぜ棒を使うんだが、油断すると固まってる。
速乾塗料Vカラーの比じゃない、はみ出すのは諦めてとにかく突っ込んだ方がいい。
細かい造形を意識するなど、少なくとも俺には不可能だわ。

 固まってしまえばソフビなので、切ったり削ったりは簡単。
むしろカッターやナイフなどでは切りすぎてしまう可能性もあるので、
紙ヤスリなどで慎重に削るといい。
400番から始めて600番、1000番とすれば十分、最後はメラミンスポンジで仕上げる。

 肝心の強度だが、修理前と比べてまったく遜色がない。
ヘッドをつまんだり押したりお湯につけたりしても一切問題はないし、
補修個所に細かく植毛針を刺してもちゃんと伸びてひび割れたりしない。
外観さえしっかりと仕上げてしまえば、破損していたことを感じさせない完成度。

 ソフビを溶剤に漬け込むことで硬くする手法もあると聞いたことがあったが、
このソフビパテのやり方では、硬くなるということはなさそうだ。
補修後1年ほど経ったヘッドでもソフビ本来の柔軟性は損なわれていない。

 これは非常に便利なので、ソフビの緊急事態対策として知っておくべき情報だろうな。
誰が? 人形者やソフビ怪獣マニアの方々限定だわなぁ。
(2020/05/09)
   
1/6ドール 「偽装の多いカフェ」

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